No.1 “帰りたい”と思える場所を求めて

大塚拓 / Menu


 

 

 

―どういったキッカケで旅や海外に興味を持ったのですか?

 

 僕は岐阜県の出身なんだけど、そこはトヨタの下請け工場が集まった地域でペルー人やブラジル人がたくさんいたんだ。そういったスペイン語やポルトガル語が身近な環境で生まれ育ったから、大学では語学を勉強したいって気づいたらそう思うようになっていたんだ。それもスペイン語やポルトガル語を第2言語じゃなく第1言語として勉強したくて、しかも外国語大学よりも総合大学の方が幅があって楽しそうかなーと思って、今の大学に進学したんだよね。

 

 

―では、大学進学後にはすぐ旅をするようになったのですか?

 

 いや、最初の1年間はラクロス部にいたんだ。高校でも強豪のハンドボール部に所属してたんだけど、いやーやっぱり高校と大学の部活は違ったね(笑)本当に部活ばかりの毎日でしんどくて、語学の勉強もはかどらないし、部活だけの大学4年間でいいのかなーって。だから1年生の3月に部活は辞めて、その後すぐに初海外で韓国に一人旅に行ったんだ。1週間だけだったし、韓国だって日本とは似たような国だしって今となっては思うけど当時はもう全てが新鮮で、19年間生きてきて間違いなく最大のわくわくと希望を手に入れた気になってたよ(笑)

 

 

―そして、次は国費留学へ…。

 

 そう。大学2年の夏から1年弱、大学の制度を利用して航空券や授業料がかからない国費留学でスペインに行ったんだ(笑)もともとスペイン語に対するモチベーションは高くて、韓国の一人旅でもスペイン語熱は再発して。留学は8月出発で、その話を聞かされたのが5月だったのかな。急な話だったけど、留学は前からしたかったし、両親も「タダなんだから勝ち取って来い!」って応援してくれて。そこで猛勉強して試験を突破して、無事にスペインへ旅立ったんだ。これは本当に大きな経験だったね。

 

 

 

 

 

 

―スペインはどんな国でしたか?

 

 もう僕にとってはスペインという国そのものが第2の故郷、帰る場所って感じかな(笑)魅力はなんといってもあの空気感、そして人!留学先がラ・リオハ州っていう超マイナーな、旅行者なんて誰もいないド田舎なのもよかったのかなー。スペインらしくない地域…というか、スペイン自体が地方1つ1つで全く違う国みたいなものなんだよね。だからスペインを語るのは難しいというか、ぜひ実際に行ってみてほしいなー。

 留学先で特に面白かった授業は「ワイン醸造学」。最初はイヤだったなー日本語でも理解できない内容だもの(笑)だけど勉強してくうちにどんどんハマッていったんだ。いい?まずね、ワインは飲み物の中で唯一5感を刺激するものなんだよ。香りや味はもちろんのこと、目で色を見たり、コルクのポンッて音でも違いが…(以下熱弁)

 

 

 

 

 

 

―世界一周もされたのですよね?

 

 いや、当時は世界一周なんて知らなかったし興味すらなかったよ。留学の前後や休暇を利用してアジア・欧州・北アフリカ・南米と旅してたんだけどね。帰国したらSNSとかで世界一周が盛り上がってて、そこで初めて「あ、おれも世界一周してたんじゃん」ってなったくらい(笑)そういう旅のステータス化は、あんまり好きじゃないな。

 

 

―これまで訪れた約30の国の中で、最も印象的な国はどこですか?

 

 まず、スペインは比べられる存在ではないから例外ね(笑)やっぱりブラジルかな!お世辞にも安全だとは言えないけど、本当に愛にあふれた国なんだ。僕はよく自分の故郷を「愛知の植民地」だなんていって卑下するんだけど、彼らは「ブラジルのオススメどこ?」と聞けば全員が各自の地元をゴリ押ししてくるんだよ(笑)だったら僕も行ってやろうと、オススメされた旅行者には全く知られてない田舎に行ってみたんだけど、オススメされたとおりそんな田舎でも最高だった。ブラジル人50人のホームパーディーに日本人1人で紛れ込んだりして(笑)世界で1番自分の国を愛しているブラジルは、どこに行っても愛を感じられたなー。

 あとは、モロッコも2回行ったけどすんごい気に入ってる!砂漠ツアーに欧米人と参加して『となりのトトロ』歌ったら、ベルベル人の村長にすんごい気に入られちゃったんだ(笑)だからラクダが1匹脱走して1人ツアーから離脱することになったら当然のように僕が指名されて、砂漠でベルベル人と共同生活することに(笑)ベルベル語なんて当然分かるはずないんだけど、一緒にいるとだんだんとコミュニケーションがとれるようになってくるんだよね。留学した身だけども、「言葉が無くても心は通じ合う」ということをこのとき強く実感したな。

 

 

 

 

 

 

―ズバリ、これまでで1番好きな風景は何ですか?

 

 うん、僕が1番好きな風景はやっぱり人の笑顔かな。ブラジルやスリランカの笑顔は特に印象的。人との出逢いがやっぱり旅の魅力だと思うんだ。日本人・旅行者・現地人、あらゆる角度からその国を感じたいんだ。僕は自分で決めたルールがあって、初めて来た国では絶対にまず市場かスーパーに行くの。観光客の感覚を知る前に地元の人の感覚を知りたいというか。人と会う楽しみはいろんなところに転がってるけど、まずは市場だね。

 

 

―現在は4年生ですが、就職活動はどうされたのですか?

 

 えっと、食品業界に内定を頂き、そして3年後には中南米へ飛ばされるのかな(笑)最初は働くってことはおろか、自分って存在が見えてこなくて思い悩んだよ。だから帰国後に自分のブログを読み返して日本で自分探しをして、せっかくここまでやったんだからスペイン語を使える仕事がいいなと思ったんだ。南米を旅したときにボリビアで現地人が日本の食品をおいしそうに食べてるのが印象的で、「日本製品が地球の反対側で笑顔を作ってるってすげえ!」と思ったこともあって、さっき言った進路になったんだ。

 僕にとって旅は人生の一部分でしかなくてさ。だから海外で面白いことやってやろうとは思っても、将来は旅人になろうだなんて全く思わないんだよね。

 

 

 

 

 

―では、最後に「旅」とは何ですか?

 

 さっき「人生の一部」と言ったけど、あとは「キッカケ」かな。日本にも海外にもキッカケは転がってるけどさ、日本じゃ広告見たり人間観察なんてしないよね?だけど海外だとキッカケに気づきやすいから、それを拾うためにいくような感覚かな。

 なんかさ、最近ありがちな旅を強制する雰囲気は好きじゃないんだよね。ここに行ったほうがいいとか、旅先で面白いことやらなきゃいけないとか、旅のステータス化とか。けど旅に目的なんていらないと思うし、行き先だってどこでもいいじゃない。僕なんて国旗とか地名のかっこよさで行き先選んだりしてるもん(笑)世界はどこでも楽しいし、どの国だってキッカケは転がっているよ。

 そう、どこだっていいんだよね。だから僕は地球を自分の家にしたいな。今のところ全大陸に友達はいるけど、もっともっと増やしたい。これから卒業まで数ヶ月をキューバで過ごすけど、そうやって今後も地球規模で動ける人間になれれば最高かな!